どーも、みなさん! いちみほんじん(一見本人 / いちサンプル)です。
平成30年度(2018年)行政書士試験の合格体験記のシリーズです。行政書士試験(平成30年11月11日実施、平成31年1月30日発表)には、約半年間の独学で一回目の受験で合格しました。
これから二回にわたって、記述式問題をテーマにしたエントリーをアップしていきます。行政書士試験の記述式問題に有効な対策を、経験に照らして考えてみたいと思います。
今回は前編として、平成30年度(2018年)の記述式問題を素材にし、実際の試験での答案と採点結果を自己分析してみました。いちサンプルとして参考になれば幸いです!
後編では、記述式問題で効果的だった勉強法について書いています。
行政書士試験の記述式問題とは?
まずは「記述式問題」のなんたるか、についてザっとまとめます。
「記述式問題」は出題に対して40字程度の記述で解答するという、超簡易バージョンの論述式問題です。
マークシート方式(五肢択一式など)ではないので、まったく知らない論点を問われた場合、当てずっぽうで正解を得るのは困難です。ただし、(キーワードに応じて?)部分点はもらえます*1。
記述式問題の配点:理論上0点でもよいが、稼げれば安心
「記述式問題」の配点を確認してみましょう。
行政書士試験 記述式問題 配点 | |||
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法令等等 記述式 |
3問(民法2問、行政法1問) 各20点 | 合計 60点 | 全体の20% |
⑴「択一式(法令等184点・一般知識等56点)」の合計で120点に満たない場合 ⑵「一般知識等」で24点に満たない場合 ⇒ 記述式が満点であっても合格点(180点)に達しないため採点してもらえない。 |
「択一式(法令等・一般知識等)」で合計180点以上とれれば、たとえ記述式が0点でも合格できます(ただし、180点のうち「一般知識等」が24点以上であることが必要)。つまり記述式の点数だけで、足切りされることはないということです。
理想としては、「記述式」抜きで180点以上とってしまうことですよね。「択一式」で180点に満たない場合、「記述式」の採点結果によって合否がわかれます。
予備校が発表する解答例や自己採点でだいたいの目安はつけられますが、合格基準ギリギリのところにかかっている状況だと、受験日(11月中旬)から合格発表の日(1月下旬)まで不安な日々を送ることになってしまいます。
「択一式」には足切りがあることから、「記述式」の点数を含まなくても180点以上とれるくらい「択一式」での得点をがっちり固めていくことが合格への条件になりますが、試験本番では何があるか分かりません。
「択一式」が思うように伸びなかった事態にそなえて、「記述式」でのもう一押しの得点はやはり欲しいところです。
平成30年度 記述式問題と正答例
私が受験したのは平成30年度(2018年11月11日実施)の試験です。問題と正答例は下記リンクで確認することができます。
問題文は下記リンクをご参照ください。記述式問題は40ページからです。
平成30年度 行政書士試験問題(PDF)
正解は下記リンクをご参照ください。
平成30年度 行政書士試験問題の正解 | 行政書士試験研究センター
平成30年度の記述式問題を自己分析してみる
私の記述式の得点は60点中48点でした。ちなみにLECの無料採点サービスでは42点(偏差値70.2, 全体の19位)でした。得点の内訳は公開されていないので不明です。
単なる一介の元受験生でしかない素人ですが、私なりに自己分析をやってみます。
平成30年度 記述式問題44:行政事件訴訟の類型
行政法の出題は1問です。行政法からは、行政事件訴訟の類型についての問題が出題されました。
平成30年度(2018年)行政書士試験 記述式問題44 | |
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問題44の正答例(公式) | A県を被告として、不作為の違法確認の訴えと農地転用許可の義務付けの訴えを併合提起する。 |
問題44の答案(いちサンプル) | A県を被告として、申請拒否処分の取消訴訟と申請により求められた許可をする義務付け訴訟をする。 |
問題44は問題文が長かったので、読む気すら起こりませんでした(アホ)。
「択一式」である程度の手応えがあり、合否は「一般知識等」次第だろうという見込みだったので後回しにしていました。
最悪、白紙でもいいかな~と思ってました。試験は長丁場なので結構消耗しますよ~
試験終了5分前になんとか気を取り直し、部分点を取りにいくつもりで解き始めました。
被告が「A県」であること。これは基本中の基本なので、絶対に書きたいところ。
「不作為の違法確認訴訟」と書くべきところを「申請拒否処分の取消訴訟(処分取消訴訟)」にしてしまいました。問題文に「この申請書は受理できません」とあるので、やはりここは「不作為」ですよね~。後の祭りです。
時間に余裕があったらどうだったのか? 「不作為の違法確認訴訟」は行政事件訴訟の類型のなかで存在感がやや薄め。たとえ時間があっても出てこなかったかもしれません。とはいえ基本の基本なので、今にして思えば落としたくないところでした。
許可処分を求める「義務付け訴訟(申請型:不作為型)」は、受験生にとって書きやすかったと思います。
「併合提起」という文言が出てこなかったのは痛い! これも基本中の基本ですね。何のために勉強してたの? と自分を責めたくなります。点を取っていくには、まさにこういうところですね。
行政法に関しては暗記用カードを作っていて、試験当日の行きの電車の中で見ていました。計7枚、行政事件訴訟の類型についてのカードでした。
ヤマが当たった! というよりは、単純に基本中の基本、最重要事項のひとつであるが所以だと思います。
8点?と予想。「A県」と「義務付け訴訟」のキーワードに、かろうじて部分点が各4点?
今振り返ってみると、問題文が長いわりに実際の難易度はさほど高くなかったように思えます。長文にひるまずに、文章を落ち着いて読むことがカギだったのかもしれません。「不作為の違法確認の訴え」が若干難しいかもしれませんが、全体の難易度は普通、もしくはやや容易という印象です(私はダメでしたけどね…)。
平成30年度 記述式問題45:成年後見人の追認
民法の出題は2問です。一つめは、民法総則から成年後見人の追認についての問題でした。
平成30年度(2018年)行政書士試験 記述式問題45 | |
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問題45の正答例(公式) | Cに対し、本件契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をし、追認しない旨の確答を得る。 |
問題45の答案(いちサンプル) | Bの成年後見人に対して、本件契約を追認するか取り消すか催告し取消しの確答を得る必要がある。 |
単に「C」と書けばいいのに、回りくどく「Bの成年後見人」と書いてしまう。これは私にとって試験勉強期間中からやりがちなミスでした。
間違いではないけれど、問題文の指示通りに書けていないので減点対象だったのかどうか? 不明です。もっと落ち着いて頭を働かせロ! と自分に言いたくなります。
催告によって得るべきなのは「追認しないという確答」か、「取消しの確答」か。 各予備校の正答例でも分かれていたように記憶しています。
私は条文ベースで書けば絶対に間違いにはならないと思ったので、迷わず「取消しの確答」と書きました。公式の正答例とは違いますが、問題ないと考えています。
20点と予想。「Bの成年後見人」は完ぺきじゃないけど、おまけと解釈。
基礎を問う問題だったと思います。「成年後見人」は民法総則、しかも初めのほうに出てくるので、受験生にとって記憶に残りやすい論点ですよね。難易度はやや容易でしょうか。
平成30年度 記述式問題46:贈与契約
二つめは、民法債権の贈与契約から書面によらない贈与が出題されました。
平成30年度(2018年)行政書士試験 記述式問題46 | |
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問題46の正答例(公式) | 書面によらない贈与であるため、履行が終了していないことを理由として契約を撤回できる。 |
問題46の答案(いちサンプル) | 動産について、書面によらない贈与は引渡しが済んでいなければ撤回できるので、その旨主張する。 |
この問題は結構自信がありました。ただスッキリした文章で解答するにはどうすればいいのか少々悩みました。
書面によらない贈与、履行が終わった部分(動産の場合、不動産の場合)、契約の撤回
こういうキーワード(法律要件・法律効果)は覚えるしかないというか、これを覚えることがまさに試験勉強ですね。
20点と予想。
この問題も基本的な論点だったという印象です。難易度はやや容易でしょうか。
平成30年度の記述式問題は3題ともオーソドックスな問題で、基本的なことを解答するというものでした。率直に運がよかった! と思っています。
まとめ:実際の試験答案と採点結果を分析する
最後に今回の記事をまとめておきます。
- 試験本番では、問題文を落ち着いて注意深く読むこと!
- 問われているのは、実はごく基本的なことかもしれない。
- 部分点は確実に存在するので、とにかく何か書いておく!
- 緊張と疲労に負けないこと!
今回はここまでです。次回は後編として、効果があった勉強法などについて具体的に書いていきたいと思います。
ひとつの私見として、いちサンプルとしてみなさんの参考になれば幸いです! 行政書士試験についてのエントリーは、あと少しだけ続く予定です。
それでは、どうもありがとうございました! 今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
*1:採点基準が公開されているわけではないので、部分点の付き方等は不明です。